オリジナルオーダーメイド 演舞中の衣装替えについて
衣装替えをしないメリット1
◆衣装替えをする場合◆
衣装替えをしやすい衣装というのは構造的に平面的なものに限定されます。そのため、型紙も平面的なラインになりやすく衣装の形状そのものが制限されてしまうため、デザイン性の高い衣装を作りづらくなります。
衣装替えをしない方が1点1点のアイテムの形状の自由度が高くなりますので、立体的な衣装が作りやすくなります。
衣装替えによる制限がないため、デザインの細かいディテールにもこだわっていくことができ、デザインの幅が大きく広がります。
衣装替えをしないメリット2
◆衣装替えをする場合◆
脱いだ衣装が帯から下に垂れてしまう事が多いので下半身にはデザインを入れにくくなるなど、デザインの自由度が限定されてしまいます。
対して、衣装替えをしない場合は衣装のどこにでもデザインのポイント持っていけるのでデザインの幅が大きく広がります。
衣装替えをしないメリット3
1点1点の衣装のコストパフォーマンスを上げられるので、オリジナリティーの高い1着を追求して作ることができます。
よさこい衣装はチームが企画した演舞テーマをより忠実に表現していくための重要なアイテムとして進化し続けています。
より強く個性を演出していくためには、オリジナルの柄で生地を加工する「昇華転写」が欠かせない要素となっております。
例えば衣装替えをしない場合、コストの100%をかけてクオリティーも100の昇華転写衣装を作ることができるので、1曲の最後までずっとクオリティー100の衣装を着て踊ることになります。
一方で衣装替えを1回するとなると、1着あたりのコストが半額になるため個性的でこだわりのある昇華転写が難しくなり、無地に近い衣装を2着作るといった配分にせざるを得なくなります。
結果として衣装替え前・後とも、つまり1曲の最後までずっとコスト50%・クオリティー50の衣装を着て踊るといったイメージになってしまいます。
衣装替え仕様と縫製の矛盾点
弊社が衣装替えをあまりお勧めしていないもうひとつの大きな理由に、縫製従事者への配慮があります。
例えば¥10,000の法被Aと¥15,000の法被Bがあるとします。この2つをリバーシブルにして1着の法被を作るとした場合、多くの方が¥25,000未満になると予想すると思います。ですが実際は、リバーシブルの法被というのはとても縫いづらくアイロンもかけにくく、普通の法被を2着作るより大きな労力を要するため、¥25,000を大幅に超える見積もりになります。
その際にお客様はどう思われるでしょう?誠意に欠けた見積もりではなくても、殆どのお客様は受け入れがたいと思うのではないでしょうか?
このようによさこいに多く見られる衣装替えの仕様は、お客様の要望と縫製工場側の事情との間に矛盾が起こりやすく、その矛盾を埋めるための歪は必ずどこかに生じています。
よさこい衣装で「奴隷的な縫製」を強いられていることがあったり、「あまり縫製が上手ではない工賃の安い人」の手によって縫われることが多くなってしまっている現状もこのような背景があり、結果としてお客様の不利益にもなります。
R-ZEROでは、このようなお客様側と縫製工場側との間で矛盾が起こる衣装の制作は控え、衣装替えをしないからこそ素敵な衣装を作っていける道があるということを広めていけるように努めています。
制作が可能な衣装替えの実例
着物を2着作り、1着脱ぐタイプ
肩のマジックテープを剥がすタイプ
バッグにしまっておいた着物を出してから羽織るタイプ
袴に前掛けを付けて、前後に転換するタイプ
◆弊社では一定の基準を越える衣装替えのご相談にはお応え致しかねますのでご了承願います◆
衣装替えの衣装を実際に企画しながら感じる事
最近のよさこい衣装では、テーマを具体的に表現していくようなデザインが求められています。演舞の途中でストーリーの変化を際立たせ、衣装替え前後共にテーマを上手く表現できるのであれば、衣装替えの意義を感じます。緻密に企画された衣装替えというのは良い作品ができることもありますが、実際の制作現場においては「衣装替えにテーマが支配されてしまっているな」と感じることの方が多いです。
シンプルな衣装替えであっても上着を2着作ることになります。弊社のオーダーメイドのお客様の平均的な予算で上着を2着作り、帯やパンツ等最低限必要なアイテムも作っていくとなると、全てのアイテムは縫製工賃が安く抑えられるオーソドックスな形に限定されてしまいますし、使える生地は比較的無地っぽい生地に限定され、転写やプリントを入れられる面積も限られてしまいます。
このような制限の中で企画を進めていくと、配色でオリジナリティーを出すしかなくなるのですが、お客様の方が「この配色は過去にあのチームがやっている」「この配色だと衣装チェンジ前後の色差がわかりにくい」というような流れになり、行き詰まることが多いです。
衣装で好まれる配色は既に出回っていて飽和状態ですので最終的には過去に見たことのあるような配色に着地せざるを得なくなるのですが、そこに着地していく過程を見ながら、この衣装替えって本当に必要なのだろうか、衣装替えさえなければもっと幅広いデザインのご提案ができたのに、と思うことが度々あります。
弊社のリピーターのお客様は、衣装替えをしない派・衣装替えをやった上で辞めた派の方が多いです。
ひとつひとつのアイテムの形や生地にこだわり、昇華転写衣装のデザインでチームの個性や作品テーマを表現したいというチームが殆どで、実際に多くのお客様に衣装替えをしないからこそできる素敵な衣装があるということを実感して頂いております。
衣装替えをするという流れが代々自然に受け継がれているチームもありますが一旦衣装替えをしない前提で考える事にチャレンジしてみると、チームの個性を更に発揮できるようなオルジナリティーの高い衣装ができる可能性があります。是非一度ご検討ください。
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